紡ぐべき糸

臆病な 啓子には 既成事実が 必要だから。


そして聡は まだ見ぬ子供に すでに 愛情が湧いている自分に驚く。
 

「どんな子かな。どっちに 似ているかな。ケイ 体調は大丈夫?無理したら駄目だよ。仕事 続けられる?」


矢継ぎ早に言う聡を 啓子は 涙を溜めて見つめる。
 

「もしかして ケイ 俺に 反対されると思っていたの?」


急に 真顔で聞く聡。

頷く啓子の目から 涙が流れる。
 

「でもケイ 大丈夫かな。妊娠中は しばらくエッチできないけど。」


啓子を 抱き寄せて聡が言う。
 

「聡のバカ。」

と言って 啓子は しゃくり上げる。


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