紡ぐべき糸
7
美咲に プロポーズをした時 聡は 結婚することの意味が わかっていなかった。
ただ 美咲を 呼び戻したくて。
美咲と過ごす 甘く 寛いだ時間だけが 欲しくて。
家庭とか、家族とか。
そういうことは 考えていなかった。
美咲は 聡に 何も要求しなかった。
いつも 聡の求めるまま 聡を満たし 寛がせてくれた。
聡は 美咲の寛大さに 強く 惹かれていたけれど。
それは 愛ではなかったと 啓子を 愛して気付いた。