紡ぐべき糸


《横山君、就活は どう?》
 
《こっちは、まだ全然。美咲は?》
 
《少しずつ。説明会とか、OB訪問とか》
 
《へえ。東京は早いね。美咲 どこ 狙っているの?》
 
《一般職の 募集があるところは 説明会に 出ているけど。具体的な希望は まだ》
 
《俺は 就職できれば どこでもいいよ》
 
《まさかー。笑》
 

《美咲 夏休み 帰って来る?》

聡は いつも 聞いてしまう。
 
《帰らないかな。バイトもあるし》

美咲の返事も いつも同じだった。
 
《つまんない。おいでよ》
 
《そうだね。考えておくね》


そう言っても 美咲は やっぱり 帰ってこない。

聡は、軽く いなされていた。
 


聡からのメールに 美咲は 応えてくれるけれど。


美咲から メールが来ることはない。



潔い美咲に、聡は 引きずられていた。
 
 


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