紡ぐべき糸
美咲は きっと 中学生の頃から 違和感と 戦っていた。
あの頃 美咲が 地味で 目立たなかったのは そうしないと 浮いてしまうから。
あの頃から 美咲は 本物を求めていた。
当時 美咲の周りで それを 理解できる人なんて いなかった。
だから 美咲は 自分を抑えていた。
周りを 生かすために。
聡が 美咲から感じた 包容力は 長い時間をかけて 美咲が 培ってきたものだった。
不自由さと 葛藤の中で 美咲が 身に付けたもの。
どんなに不自由でも 美咲は 腐らずに 前を向いて 努力していた。
美咲は 一流企業に 就職するまでに 聡の 想像を超える哀しみを 乗り越えてきたはず。
だから聡は 一緒にいると 包まれ癒されていた。
今のままでは 美咲に 会うことはできないと 聡は思っていた。