紡ぐべき糸

聡が　どんな人を　好きか聞いて　啓子は　それを　目指すつもりなのか。


聡を　振り向かせる為に。


さっき啓子は　自分の気持ちを　伝えたかっただけだと言った。


啓子の矛盾に　聡は　少し苛立ちながら、
　

「これからも　林さんとは　一緒に　仕事をするわけだから。ギクシャクするのは　嫌だし。俺のことは　普通の同僚と　思ってほしい。」


と思い切って　一気に言う。

少し　俯いていた啓子は、
　

「多分　私　横山さんのこと　ずっと　好きだと思います。」

と小さく言った。


意外に　強情な　啓子に　苦笑しながら、
　


「大丈夫。もっと良い奴　すぐに　見つかるから。」


と聡は言う。
　

「でも私、会社では　横山さんに　迷惑かけないように　普通にします。」



と言う啓子に　聡は初めて　優しい気持ちで頷いた。