紡ぐべき糸
聡は 仕事の内容や 今 担当している 取引先のことを 美咲に話す。
美咲は 上手に 相槌を打って 聡の話しを 聞いてくれる。
『横山君、頑張っているね。頼もしくなったね。』
美咲の一言で、聡は 全てが 報われた気がした。
『しかも俺 逞しくもなったよ。美咲のことも 軽々と 抱けるよ。』
『じゃあ 今度会ったら お姫様抱っこ してもらおう。』
美咲は クスクス笑う。
『美咲、会ってくれないくせに。』
聡はつい 拗ねた声で 言ってしまう。
『横山君が 抱けるくらいまで 痩せないとね。ジムでも 行こうかな。』
美咲が 明るく答えるから 聡も だんだん 楽しくなってくる。
『美咲。こんな時間に 付き合ってくれて ありがとう。』
話しを終える時に 聡が言うと
『ううん。私こそ 楽しかった。』
と美咲は答えた。
美咲は いつも 謙虚で対等だった。
もし美咲が “ 何かあったら、いつでも電話してね ” と言ったら 聡は 二度と 電話できないだろう。
『おやすみ』
と言いながら 聡は 心が 温かくなっていることに気付いた。