紡ぐべき糸
啓子が 少しずつ 変わっていることに 聡は 気付いていた。
少しずつ 明るくなって 少しずつ 大人になっていく啓子。
年齢的にも 変わる年頃だけど。
多分啓子は、何かが 吹っ切れたのだと 聡は思った。
翌年の バレンタインデーにも 聡は 啓子に チョコを貰った。
「林さん。」
と苦笑する聡に、
「ステーキ狙いです。」
と啓子は 笑顔で答えた。
いつの間に こんな返事が できるようになったのだろうと 思いながら
「仕方ないなあ。頑張って 定時で上がるから。去年のコンビニでね。」
聡は つい応えてしまう。