紡ぐべき糸

金曜日 待ち合せた駅前。


美咲の姿を見た時 聡は 恥ずかしいくらい 嬉しかった。

笑顔で 美咲に駆け寄る。
 

「美咲 また 綺麗になったな。」

聡は 優しく 美咲の肩を抱く。

美咲は 聡が想像していたよりも ずっと綺麗になっていた。


美咲の笑顔は 優しさと温かさに包まれて 強く 聡を惹きつける。
 

「相変らず、上手いなあ。」

と聡を見上げて 微笑む美咲。
 

「ねえ、美咲。俺 腹ペコ。美味しい所 案内して。」

この八年 美咲に 何もなかったと 聡は思ってない。

でも美咲は 良い経験を重ねたと 感じられる笑顔だった。
 

「うん。何が食べたい?」

聡を見上げて 美咲が聞く。
 
「やっぱり肉でしょう。」

聡は 心から笑顔が溢れて 止まらない。
 
「だよねえ。ステーキ系?焼肉系?」

美咲も 明るく笑って 聞いてくれる。
 

「うーん、東京で ステーキは 緊張するから 焼肉がいいな。」


素直に言う 聡に頷いて 美咲は 歩き出した。
 
 

< 55 / 227 >

この作品をシェア

pagetop