紡ぐべき糸

八年振りの美咲は 柔らかく熟して 聡を 甘く包む。


美咲の 優しい感触は 初めて抱いた時以上に 聡を 夢中にした。



聡は まるで 余裕のない少年のように 美咲を待てずに 果ててしまう。
 

「美咲、ごめん。俺。」


美咲を 胸に抱いて そっと 髪を撫でながら 聡が言うと、
 

「ううん。嬉しいよ。」


美咲は 少し 目を上げて 優しく聡を見た。


身も心も 美咲に包まれた感動が 聡を満たす。
 

「美咲。愛している。」

聡は 自分の言葉に 体が支配されていく。


優しく口づけると 聡の体から 熱い思いが込み上げて 抑えられなくなっていく。


「止めて。お願い。」

二度目に 初めて 美咲を満たした聡。


包まれ 溶けていく感触は 衝撃的な 歓びになって 聡に返ってくる。
 


「美咲。」


と言ったまま 聡は 長い息を吐いて 脱力していた。
 
 


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