紡ぐべき糸

15


美咲と 過ごす時間は 楽しくて優しくて。


美咲は ずっと笑顔で。


人混みを 歩きながら そっと 聡に気を配る美咲。

その細やかな思いやりが 聡を もっと笑顔にする。
 

スカイツリーから お台場を回って 海浜公園を歩いていると 秋の空は 暮れ始める。
 

「横山君 何時の電車に乗るの?」

時計を見ながら 美咲は 聡に聞く。
 
「俺 今日 帰らないと駄目?」

聡は 懇願する目で 美咲を見る。
 

「それ、私に聞く?」
 
美咲は 声を出して笑って 聡を 温かく見つめる。
 

「俺 明日も 休みだから。美咲がヒマなら 明日も 一緒にいたいなって思って。」

美咲の肩を 抱き寄せて聡が言うと、
 

「じゃあ 私の部屋に来る?」

と美咲は 優しく微笑んだ。
 

「いいの。」

聡は 弾む声で答える。

美咲は クスクス笑って頷いた。
 

「ヤッター。」

と聡は 子供のような声を上げて 美咲を抱き締める。

そのまま 美咲にキスをすると、聡の体は 甘く反応してしまう。
 

「横山君?」

聡を感じて 美咲は 責める目を 聡に向ける。
 

「俺、すごくない?どうかしたのかな。」


と答える聡を 美咲は 優しく睨んだ。
 
 


< 63 / 227 >

この作品をシェア

pagetop