紡ぐべき糸
美咲のアパートは 狭いけれど 綺麗に 片付いていた。
「じゃあ 今日は 私の部屋で お鍋でもしようか。」
と美咲は言って 二人は 早めに 美咲の部屋に向かう。
混んだ地下鉄も 途中のスーパーで 買い物をすることも 聡は 楽しくて 上機嫌になってしまう。
「へえ。美咲 綺麗にしているね。」
美咲の部屋を 珍しそうに見回す聡。
「急いで 食事の用意 するね。少し テレビでも見ていて。」
エプロンを付けた美咲に
「あー。美咲 可愛い。若奥様みたい。」
と言って 聡は 後ろから抱きしめる。
「ちょっと。危ないでしょう。私、包丁持っているんだよ。」
と美咲は笑い、
「じゃあ 横山君も 手伝ってよ。」
と言う。
「いいよ。新婚夫婦みたいだね。」
と無邪気に笑う聡。
スーパーで買った ビールを飲んで。
二人で鍋を囲む。
聡は 甘い幸せに包まれて この時間を 失いたくないと 強く思う。