紡ぐべき糸

「美咲、前の彼って どんな人?」

抱き合いながら 聡は聞く。

ずっと 気になっていたことだから。
 

「普通の人だよ。」

美咲の言葉に 聡は プッと笑って 
 
「秘密なの?」

と聞き返す。


優しく頷く美咲に、
 
「結婚の話しに ならなかったの?」

一番 聞きたかったことを 聡は 聞いてみる。
 

「なったよ。でも私 その気に なれなかったの。」

美咲の答えは 聡を 不安にした。


美咲は 結婚生活を 望んでいないのか。
 

「美咲、結婚する気ないの?」

聡が聞くと


「そうじゃないけど。その人との生活が 思い描けなかったの。」

美咲は 素直に答えてくれる。
 
「俺は?俺との生活は 想像できる?」

聡は せっかちに 聞いてしまう。

さっき美咲に 考えさせてと 言われたのに。
 

「それを これから ゆっくり考えます。」


美咲は 甘く答えて 聡の胸にもたれた。


聡の中から 美咲への 愛しさが込み上げて 聡は また 美咲の唇を熱く塞ぐ。


そのまま 甘く指を滑らせる聡に、
 

「私 もう 無理。」


美咲は 甘く聡を睨んだ。
 
 

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