紡ぐべき糸
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月曜日から また 聡の日常は始まる。
美咲と過ごした 二日間は 夢だったのかと思うほど 平凡な毎日。
東京の街を 美咲と 歩いたことさえ 遠い記憶になっていく。
帰ってきてすぐは 恥ずかしいほど 浮かれていた聡。
でも毎日は 容赦なく 聡の上を 通り過ぎて行く。
心も体も 満たされた充実感は 変わらない日常に すり減らされていく。
美咲とは 頻繁に 連絡を取り合っていた。
聡のLINEに いつも美咲は 甘く応えてくれる。
たまに 電話で話すと 美咲への 愛しさが込み上げて 聡は 余計に寂しくなった。
時々 上京して過ごす 美咲との時間は 聡にとっては 現実逃避だった。
美咲と一緒にいると 温かな優しさに包まれて 聡は 幸せしか感じない。
華やかな街を 美咲と歩き、夜は 熱く求め合い。
二人で過ごす時間は 楽しくて。
楽しい時間を 過ごすほどに 聡は 帰ってからの生活に 寂しさを感じた。