紡ぐべき糸

「あの、横山さん。一応 決まりなので。」

翌年のバレンタインデーに 聡は また 啓子にチョコを貰う。
 

「そうか。じゃ、ステーキ行く?決まりだからね。」

苦笑して 聡が答えると、
 

「いいんですか?」

と啓子は 驚いた顔をした。


秋以降の聡を 見ていた啓子。

聡の変化に 気付いていたから。
 

「いいよ。林さん 都合悪いの?」

聞き返す聡に 啓子は 慌てて首を振る。
 

「じゃ。いつもの コンビニでね。」

と言って聡は営業に向かう。



その背中を 啓子は 切なく見送っていた。
 


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