紡ぐべき糸
「横山さん 片思いの人と 上手くいってないんですか。」
毎年 同じステーキハウスで 啓子と向かい合う。
食事をしながら 啓子に聞かれて
「上手くいっているよ。」
聡は笑顔で言う。
「じゃ、なんで私を?」
啓子は 少し咎めるように 聡を見る。
「林さんは 大事な同僚だから。これは チョコのお礼でしょう。」
二人で 食事をすることを 啓子は 特別に思っているのか。
「でも 私が 彼女だったら 横山さんが 女の人と ご飯食べるの 嫌です。だから。」
と啓子は 言い淀んだ。
「俺の彼女に 悪いって?」
聡は 笑って聞き返す。
啓子は 真剣な顔で頷く。
「俺の彼女は 大人だから。気にしないよ。」
聡は言う。