紡ぐべき糸
いつも通り 他愛ない話しをしながら ステーキを食べた後で、
「最近の横山さん 雰囲気 変わりましたよね。」
コーヒーを飲みながら 啓子は言う。
「そう?どんなふうに 変わった?」
聡は 真顔で 聞いてしまう。
「何か、セクシーになりました。」
啓子の答えに 聡は ケラケラ笑う。
「林さん セクシーの意味 解って言っている?」
聡は 笑いながら 聞き返す。
啓子は 照れた顔をした後で
「切なくて 寂しそうで。母性本能をくすぐります。」
と付け加えた。
聡は やっぱり 笑ってしまう。
「俺 からかわれているのかな。」
と言う聡に
「真面目に 言っているのに。私でも 横山さんを 慰められないかなって。本気で 思っているのに。」
啓子は 熱く 聡を睨んで言う。
「ありがとう。気持ちだけで 十分だよ。林さんには 随分 慰められているよ。」
聡は 優しく啓子を見つめた。
啓子も 一途な目で 聡を見ている。
聡が 美咲を愛している間に 啓子は 大人になっていた。