紡ぐべき糸
第2章 啓子

1


啓子は 入社式で 初めて会った日から 聡に 惹かれていた。


聡は 誰に対しても 明るい笑顔で接していた。

同期社員みんなと すぐに 打ち解けてく聡。


二週間の 新入社員研修が 苦にならなかったのは 毎日 聡に会えたからだと 啓子は思っていた。
 


引っ込み思案で 人見知りの啓子は 環境が 変わることが 大嫌いだった。


学生時代も 進学や クラス替えの度 とても 不安で 心細い思いをした。
 


だから 聡のように すぐに みんなと 仲良くなれる人が 羨ましかった。


いつも笑顔で 聡がいるだけで 空気が明るくなる。


誰にでも 自然に話しかけて 冗談を言って。


啓子には とても できないことだったから。
 

< 95 / 227 >

この作品をシェア

pagetop