紡ぐべき糸

それに聡は 外見も カッコ良い。


背が高くて 垢抜けていた。

みんなと同じような 紺のスーツも 聡が着ると おしゃれに見えた。
 

「ねえ、横山さんて カッコいいね。」

同期入社の 女子は三人。


一緒に 昼食を食べながら 聡の話題になる。
 

「うん。でも好きな人 いるらしいよ。」

三人の中で 一番活発な 吉野さんが言う。
 

「えー。吉野さん いつ そんな事 聞いたの。」

岡部さんが 驚いた顔で 聞き返す。


吉野さんと岡部さんは 四大卒で 啓子より 二才年上だった。
 

「この間 廊下で すれ違った時 たまたま。」

吉野さんが言うと、
 

「たまたま すれ違って そんな事 聞く?」

と岡部さんは笑う。


啓子は 二人の会話を 驚いて 聞いていた。
 

「情報は 多い方が いいでしょう。時間を 無駄にしたくないからね。」

吉野さんは あっさりと言う。
 


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