本当のキス ー偽りのキスー 番外編
「先生、コレないと不便そうだから
返す…」
オレは自分の腕から
先生からもらった
腕時計を外して差し出した
先生が
え…っていう顔をした
オレは先生の腕に腕時計を着けた
「今日、ありがとう…
楽しかった…」
オレの精一杯の言葉だった
「うん…
また明後日、会える?」
先生は明るく言ったけど
目がキラキラしてた
「うん…」
「じゃあ、また、電話するね…」
「うん…」
「うん…じゃあ…
バイバイ…」
「先生、気を付けてね…」
先生は手を振ってオレに背を向けた
歩いていく先生の後ろ姿を
ずっと見てた
先生は振り向かなかった
手で頬を擦ったのがわかった
ごめん、先生…
泣かせて…
ごめん、先生…
オレ、子供で…