嘘つきは恋人のはじまり。
最終日は朝はゆっくり支度をして京都を後にすると、新幹線を乗り継いで富士山に向かった。富士山の五合目までバスで行き、景色を堪能して、お土産を買って、また新幹線で東京に向かった。
一刻、一刻と近づく別れの時。
それを考えるだけで寂しくて押しつぶされそうだった。それでも品川駅に着いた時は、快くわたしの背中を押してくれた彼には感謝しかなくて。
「頑張るんだよ。期待に応えておいで」
彼の言葉に喉まで出かかった四文字を飲み込み笑顔で手を振った。
寂しい、のはわたしだけじゃない。
きっと彼もそう思ってくれている。
「パースで待ってる」
搭乗ゲートから飛行機に乗る彼を見送った。泣きそうになるのを必死に堪えた。だって彼の目も少し潤んでいたから。
ここで泣くのは違う。
自分が選んだことだ。
自分のために選んだことだから。
「またね」
「あぁ。着いたら連絡するよ」
「うん。ゆっくり寝てね」
携帯のフォルダに沢山詰まった宝物を何度も見返しながら、寝てと言ったにも関わらず飛行機の中からメッセージをくれることが嬉しくて。自宅についても心の中が幸せなのはきっと、彼と楽しい時間を過ごせたからだと思った。