嘘つきは恋人のはじまり。
「………」
目の前にあるダークブラウンの扉を見つめること数分。わたしは今、九条さんの家の前に立っている。
わたしがなぜここにいるのか、
それは遡ること約2時間前。わたしは今日、未玖とランチの約束をしていた。お互いG.Wを満喫し、お土産を交換したり写真を見せあったり、思い出話に花を咲かせながら食事を楽しんでいた。
その時ふと、何を思ったのか、未玖は突然九条さんのことを訊ねてきた。わたしは昨日香月さんから聞いた情報、“九条さんが体調不良である”ことを未玖に伝えれば。
『呑気にランチしてる場合じゃないでしょ!早く行ってあげなよ』
なぜか未玖に怒られた。そして予定より早めにランチを切り上げ解散の流れになった。
『見舞いに行け』と、何度も念押しされ。
仕方なく、レトルトのお粥や喉越しの良いうどん、スポーツドリンクなど、合っても困らない程度のものを差し入れすることにしたのだ。