嘘つきは恋人のはじまり。
「………」
口いっぱいにラーメンと餃子を頬張っていたわたしは九条さんと目が合い、急に恥ずかしくなった。九条さんは無言でテーブルに広がる餃子とカップ麺を見つめると無言でわたしの隣に腰を下ろした。
「……すげぇ、いい匂いする。俺も食べたい」
ちょうだい、と訴えかける目がこちらを向いている間にそっと餃子とカップ麺をテーブルの端に寄せながら咀嚼しながら首を横に振る。
「玲」
「か、風邪ひいてる時に良くないっ」
「こんな時間に旨そうなもんひとりで食うのか。俺はレトルトの粥だけだったのに」
むぅ、と頬を膨らませる九条さん。大の大人にさすがにあの量じゃ足りないのはわかる。わかるけどさすがに。
「……まあ、食欲があるなら」
無いよりはましだ。だけど、いきなり油物は胃がびっくりする。だから餃子はダメだ、と言ったのに九条さんはわたしからカップ麺とお箸を取り上げると、黙々とラーメンを啜り、餃子に箸を伸ばした。
「気持ち悪くなっても知らないよ?」
あまりにも勢いよく食べるから一応注意だけしておく。九条さんに取られてしまったカップ麺を少し残念に思いながらも、多めに買っておいたストックのおにぎりを袋の中から取り出した。