嘘つきは恋人のはじまり。
キスだけ。
九条さんは言った。そう、キスで間違いはないんだと思う。だけど。
「…や、脚はっ」
足の甲からふくらはぎを唇で辿っていく。踝を隠す丈の長いスカートは所詮スカートで。今は無様にめくりあげられ、脚が晒されていた。膝より上に唇が来たときは逃げようとしたけど、九条さんに押さえつけられて結局逃げられなくて。
「…やだっ」
太腿が丸見え。つまり下着も丸見え。裸になるより羞恥心が疼き、脚を閉じたいのに閉じられなくて。
「やめて」
言葉とは裏腹に身体が感じているのがわかる。蹲って太腿にキスしている九条さんと目が合えば下腹部からゾクゾクと競り上がる感覚に戸惑った。
「やっ、」
知らない。知らない、知らない。
こんな感覚、初めて。
「……っ」
戸惑っているわたしとは対照的に九条さんはすごく落ち着いているように見えた。だけど性急にわたしを抱き起こすとワンピースをスポン、と頭から抜き取ってしまった。
「なっ、」
「キスしかしない」
そうは言ってもワンピースを脱がされキャミソールにショーツ姿。キスだけ、なのに脱ぐ必要はないどこにある。さすがにわたしもこれには抵抗した。