嘘つきは恋人のはじまり。
それならここにくる前に先に言っておけばいいのに、って思ったのは秘密だ。わたしだってここに来る前は散々怪しんで断る気満々だった。それなのに今は彼らと働けることを凄く楽しみにしている自分がいる。
『ただ、あくまでシュクレがメインなので』
『わかってる。その辺の負担は考えるし、宮内さんも無理しない程度に。だが、凄くいい経験になると思う、うちで働くことは』
スゴイ自信だなあ、と思った。
ここまで言い切れる経営者ってなかなか、、、
いや、ここまで言い切る人だからこんなにも会社は伸びていくのか。
わたしは少々ドヤ顔で答えを待っている彼を見て肩の力が抜けた。人を転がすのが巧いというか、色んな面で勉強させてもらうことは有りそうだと思う。
『……よろしくお願いします』
『ありがとう。すごく嬉しい。詳しいことはまた別途改めて連絡するよ。その時契約書類にもサインして欲しいから印鑑持ってきて』
九条さんは本当に嬉しそうに笑ってくれた。そして、鞄からPCを取り出すとざっくりと契約内容や条件について話をする。その中で「あ、」と何かを思い出したのか、わたしに訊ねてきた。
『…ちなみに、昔、僕とどこかで会ってない?今更こういうことを聞くのも変だけど』