嘘つきは恋人のはじまり。



テーブルの上はいつの間にか綺麗に片付けてられて、九条さんとその場で契約内容や条件を纏めていると食後のデザートが運ばれてきた。


デザートなんて頼んだっけ?と首を傾げていると九条さんがクスクス笑いながらその説明をしてくれる。



『宮内さん、夜景に見惚れていたからね。一応確認はしたんだけど』


九条さんの言葉にハッとして思わず俯いてしまった。


恥ずかしい。
気を遣ってくれていたのに覚えていないなんて。


『し、失礼しましたっ』


『全然。念のためもう一度訊くけど、苺は好き?』


『好きですっ』


『………なら、よかった』


一瞬間があったけど、九条さんは先ほどと変わらない態度で接してくれた。普通なら怒ってもいいところなのに。


『……わぁ、可愛い』


『夜景の時と同じ顔してる』


『もう言わないでくださいっ』


『無理だよね』


九条さんは悪戯っ子のように肩を揺らして笑いながら顔を背けた。ここまで大笑いされるとは思わずに恥ずかしさだけが募る。


九条さんの笑いのツボがいったい何処なのかサッパリ分からないけど、この人となら仕事上上手くやっていける気がした。



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