嘘つきは恋人のはじまり。

途中まで盛り上がっていた未玖も最後は口を閉ざしてしまった。説明が終わったあと、2人揃って溜息を吐く。


「そんなこと言われてもねぇ」
「そうなの！それなら教えてくれてもいいと思うの！」


知らないものは知らない。
人生の中でどれだけ遡っても九条という人間には出逢ってないのだ。彼を除いて。


「だいたい意味が分からないのよ。“恋人はいても旦那はいないんだろ？なら問題ない”って！！問題ありまくりじゃない！？」


「んーーー。でもそれだけ裏を返せばなんとしてでも玲の気を惹きたかったわけでしょ？現にほら、こうやって彼のことで悩んでる」


面白そうに言われてちょっと、いや、だいぶ腹がたった。こっちは真面目に話をしてるのに。未玖の馬鹿。


「それに、九条梓、でしょ？彼に言い寄られたい女なんか腐るほどいるわよ」


「ならどうしてわたしなのよっ」


「だから、以前どこかで逢ったんでしょ？その時何かしたんじゃない？約束とか？」


「約束って」


「よくあるのが小さいころの」


「絶対ない」