嘘つきは恋人のはじまり。
「な、なに?」
「玲、悪いことは言わないから嫁に行きなさい」
「へ?」
「わたし、九条さんなら賛成するわ」
唐突に何を言い出すのかと思えば。力強く握った拳を何度も振るう未玖に言葉が出なかった。
アルコールが入ってテンションがだんだん怪しくなってきた。こうなった彼女を止めるのは難しい。
暴走一歩手前。
「いい?玲。よく聞きなさい。薔薇の花には意味があるの。色もそうだし、本数にもね」
未玖がテーブルに置いていたスマホを手にすると画面をタップして何かを検索し始めた。横から覗き込みながらワインをひと口飲む。
「はい、これ読んで」
未玖は自分のスマホを突き出してくる。言葉通り読め、ということなのだろう。仕方なしに読む。
「赤い薔薇が11本の意味…」
……は?
「ね?わかったでしょ?」
にんまりとドヤ顔で「わかったでしょ?」って言われても、わからないわよ。
ってかなんで、未玖がドヤ顔なのよ。
「誰もが憧れる彼には想い人がいた。彼はどこかで会った彼女に恋をして拗らせている。その相手が玲……いやーーーん♡ロマンチックぅうう♡♡」