嘘つきは恋人のはじまり。
ほう、とうっとりとする未玖を横目に小さく溜息を吐きながら、もう一度画面に表示された文章に目を通した。
『最愛』
11本の薔薇には“最愛”の意味があるらしい。赤い薔薇には“愛情”の意味もある。色の話はなんとなくわかっていたけど、色や本数っていちいち意味を考えて買うものなのかな。
「たまたまでしょ、数なんて」
未玖が都合よく解釈していないか、と思って検索画面に戻りいくつか確認してみても同じく“最愛”と出てくる。あとはパートナーや両親に“感謝”。身内に対するものらしい。
ロマンチック…か。
たしかに夜景の見えるレストラン(しかもミシュラン三つ星)で薔薇の花束にプロポーズ(片膝ついて)って世の女性の殆どが憧れるシチュエーションだろう。
おまけに相手はイケメン?で今業界でも注目されている会社の代表。食事をしながら話をしていた時「企業したんだ」なんてサラッと言ってた。デリケートな資金の話もサクッとなんでもないように言ってたっけ。
『一応現時点では、無借金経営。今後はどうなるかわからないけど、そこは宮内さんもジョインしてもらって色々改善していければって思ってる』