嘘つきは恋人のはじまり。


次会う時どうしよう、と考えていたわたしはやっぱり未玖の言う通り、彼の言葉通りになっているのだろうか。


「これから仕事?」


九条さんは隣でコーヒーを飲みながら目線をちらりとこちらに寄越した。PCを開いたままなので見えないように配慮してくれていることに気づく。


「あ、そうです。もう行かなきゃ」


嘘ではない。
山崎さんとランチだ。さっきよかったら昼食をとお誘いの連絡がきていたのだ。


「逃げるの?」

「逃げてません」

「逃げてる」


PCを閉じ慌てて資料をまとめていると九条さんの手が強引に重なった。振り払いたくても周囲を気にするあまりわたしは彼の手に捕まったままになる。


「昨日の答え考えてくれた?」


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