嘘つきは恋人のはじまり。



「へぇ。それでどんな人だった?」


あれから数日後。
今日、九条さんのオフィスにお邪魔して正式に契約を交わした。条件は食事の時にしたままで、署名して捺印して割印したものを控えでもらった。


そしてそのことを未玖に報告すれば、おつまみ、惣菜、お酒を数種類手にして我が家にやってきたのだ。


「香月さんはねぇ、なんというか」


九条さんに紹介してもらった2人は未玖が騒ぐのも肯けるほどイケメンだった。イケメン、というか美しい、というか。特に香月さんは。


「綺麗」


「あー。確かに。芸能界にいそうだもんね。ビジュアル系というか」


だけど、すごく気さくでよく話してくれた。それに九条さんを弄るのは彼の仕事。ちなみに九条さんがいつも丸投げする面倒な仕事は香月さんが文句を言いながら処理するらしい。アドフリのNo.2だ。


「木下さんは……見えない黒さ持ってそう」


目ためは“じゅのんぼーい”のような爽やかで塩顔イケメン。マッシュヘアーが少年っぽくて九条さんと同じ年には見えなかった。


だけど、仕事の話になるとすごくシビアで鋭い視点を持っているし、常ににこにこしているけど腹で何を考えているのか分からない。


「アドフリの頭脳でしょ?No.3だけど真のNo.1みたいな」


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