嘘つきは恋人のはじまり。
「セックス、嫌いなんだろ?」
突然落とされた爆弾に驚いた。それなのに、九条さんはわたしの頭を優しく撫でながらどこか可哀想な目を向ける。
「気持ち良くないんだろ?」
「……な、んで…」
「………覚えてないのか」
九条さんはわたしの様子から察知したのだろう。哀れんだ目から呆れた目に変わっている。
「…どこまで覚えてる?」
どこまでって言われても。楽しく飲んで、当時の状況をもう一度答え合わせをしよう、と言って話した。
それから……
「俺が恋人のこと訊いただろ?」
「…え、なんで?」
なんで九条さんはロバートのことを訊ねたの。
わたしの返しが気に入らなかったのか若干ムッとした九条さんはわたしの腕を解くとあっという間に組み敷いてしまった。
ーードクン、と心臓の大きな音が鳴り響く。さっきまでとは全然違う胸の高鳴りに焦り始めた。
「なんでって。玲さ、この状況でなんでって言う方がなんで、だろう?しかも、この間プロポーズされた相手にどうして疑問を持つんだ」