嘘つきは恋人のはじまり。



 ネイルサロンを後にしたわたしたちは次にヘアサロンに向かった。今日は美容DAYなのだ。と言っても、ネイルサロンと美容室のあと、有機野菜がふんだんに食べられるという居酒屋に行くだけなのだが。


 ただ、久しぶりの日本の美容室だ。どこに行ったら良いのか正直分からない。知り合いのお店もあるけど人気すぎて予約が取れない。


だから未玖に訊ねてみれば行きつけを教えてくれた。ネイルはあまりしない方だけど、爪が綺麗になるのは気分が上がるし嬉しい。やる気になるのだ。


「あ、……」


噂をすればなんとやら。メッセージが届いた。もちろん、相手は九条さんだ。


ちょうどカラーを馴染ませるために手にはタブレットを持っていた。少し前までは雑誌だったのに、タブレットになったのか、と少し時代を感じながらコラムを読んでいたのに。


タブレットを置き、携帯に手を伸ばす。メッセージを開けば携帯が震えた。


暇か。暇なのか。
メッセージを開けた瞬間に電話って。


残念ながら今は美容院。
電話は出来ないので切れるまで待つ。


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