嘘つきは恋人のはじまり。
結論から言うと緒方さんは九条という男を知っていた。取引先の担当者であり、会社の代表だということも合っていた。
そして、
『そういえばコンサルタントを探してるとか言ってたような。あれ?紹介するように頼まれたような気もするな。はははっ』
つまり、紹介してくれ、と頼まれていたにも関わらず、緒方さんはその依頼を忘れていた。
痺れを切らした九条さんは偶々ビルでわたしを目撃して声をかけた、ということだった。
わたしは事実を確認したうえで貰った名刺の連絡先にメールを送った。返信はとても簡潔で時間をとって欲しい、とのことだった。
直近一週間の都合の良い時間をいくつかピックアップしてメールに記載すれば、九条さんの答えが今夜の19:00だった。
当日、銀座にいたわたしはそのまま渋谷に向かう予定だった。だが、その予定を知った九条さんもちょうど銀座にいるということだったので、外で会うことになったのだ。