嘘つきは恋人のはじまり。



 「うーーん。どうしよう、困った」


食事が終わり、食器を洗っている間に九条さんが寝てしまった。長い脚をソファーに投げ出して気持ちよさそうに寝ている。さっきまで気づかなかったけど、目の下には隈が。まともに食事も取れていない、と言っていたし、睡眠時間も取れなかったんだろう。


「まだ9時だし…いっか」


車で来た彼はお酒を飲めない。だけど満腹になったら眠たくもなる。時間はまだ早いし起こすのも可哀想なのでわたしはしばらく九条さんをそのままにしてあげることにした。


だけど。


「うーん。11時半過ぎたよ」


薄い毛布を九条さんの身体にかけてあげて2時間半。九条さんは身動ぎひとつせずに眠っている。この2時間半の間に、ロバートと電話して、未玖と電話してお風呂に入ってしまった。


もうすでにスッピンを見られたから今更取り繕う必要もないし。


「…九条さーん」


まずは呼んでみる。
次は身体をポンポンと軽く叩いた。


だけど、反応なし。
死んでいるんじゃないか、と思うほどビクともしない。


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