嘘つきは恋人のはじまり。



「オゥンシェン?」

石造りの露天風呂。それを見ていたロバートがわたしに訊ねた。それに頷けば、彼は目を輝かせて湯船に手をつけた。


「あつい?」


「少しね」


「ロバートは暑がりだからね」

湯船に浸かる、という習慣は彼にない。シャワーでチャチャっと済ませてしまう人だ。


「入ろうよ」


「もう入るの?」


とは言っても、ご飯も食べたからお風呂にはいる、でいいのだ。流れ的に。ただ、この先のことを考えると少しだけ緊張する。


ロバートは浴室から寝室に向かって進む。ベッドの上には二人分のパジャマ、いやユカタが綺麗に畳まれている。


「パジャマ、これかな?僕の?着れる?」


ロバートはユカタを広げて首を傾げている。彼の体格は大きい。身長は九条さんより少し低いか同じぐらいだけど、肩幅もあるし全体的にガッチリしている。


「こっちの方が少し大きいかも」


ロバートが手に取っていない方を広げてみる。彼は嬉しそうにわたしの手に持っている方を受け取ると、わたしの手を引いた。


「はやく入ろう」


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