嘘つきは恋人のはじまり。
「…もう一回、いい?」
いつも淡白なロバートが求めてきたときは驚いた。だけど、ずっと離れ離れだった。今度いつ会えるかもわからない。
「…うん、いいよ」
始まる前と終わった後の甘さと気怠さは嫌いじゃない。全体の一部を少し我慢するだけだ。
それに。
求められて嬉しい。
好きだから触れたい。触れ合いたい。
彼に気持ちよくなってほしい。
そう思うのは当然。
だから
「………ぁ、…っ、ぐっ、」
ロバートに組み敷かれ見下ろされたわたしは苦しそうに歪むその顔をぼんやりとただ見つめていた。声を噛み殺して唸る彼は何度も腰を突き上げている。そのたびに身体の中の異物がわたしの中を弄り、痛くもなく気持ちよくもない、時間が訪れた。
「…ロブ」
大粒の汗をかいた身体を抱きしめる。肌が触れ合う瞬間はとても満たされた気持ちになる。
だけど、裸でこんな恰好で抱き合うなんてどれだけ間抜けだろう、と肌を合わせるたびに思う。
脚を広げている女と、蹲って腰を振る男
表現があまりよろしくないけど、客観的に見るとそう思ってしまうのだ。肌をぶつける感覚も音も品がなくて、この時ほど人間は“動物”なんだと思うことはないと思う。