恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】

いや、こんな真面目そうで華奢な体型の女なんかタイプじゃない。よく見ればそれほど美人だというわけでも華やかでもないし。

…そもそも、今日はこの女と真剣に見合いをするつもりなんてさらさら無いのだ。

適当に済ませて、さっさと終わらせよう。

「羽瀬秋人です、よろしく」

そう言ってとりあえず人当たりの良い笑顔を作り、”相澤さん”に片手を差し出す。

「よろしくお願いします」

そう言って彼女はゆっくりと瞬き…いや、瞬きと言うよりはぎゅっと強く目をつむった後、俺の差し出した右手におずおずといった様子で左手を寄せた。

そのまま彼女の手が俺の手で触れる直前で躊躇うように止まる。

「……?」

緊張か?それにしても少し挙動不審じゃないかと俺からその手を取って握手すると、彼女が怯えるように一瞬ビクっと震えたのが分かった。

まるで悪い事をしている気分になって直ぐに手を離す。

(…こいつ、顔は良いが変だぞ)

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