恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】


一泊おいて語られたそんな言葉に、少しだけ目を見張った。

「…お前、ただの男性恐怖症じゃ無かったのか」

そう漏れた言葉に、小さく頷かれる。

──心的外傷後ストレス障害。

脳外科医である俺にとっては専門外だが、医学生時代にその病気については齧った事がある。

トラウマになるような辛い出来事によって強い精神的衝撃を受けることが原因で引き起こされるストレス障害だ。別称、PTSD。

この病気であり、男を恐れる症状が出ているという事はおそらく、過去に性的虐待を受けていたか、またはレイプでもされた事が原因だろう。さすがにそこまで踏み込む訳にはいかず、憶測に留める。

「まぁ、俺は最初からお前と結婚するつもりなんか無いから安心しろ」

俺のそんな言葉に、彼女がふせていた顔を上げた。驚いたように少し目を丸くしながらも、どこか安堵したような表情が何故か面白くなくて鼻白む。
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