恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
「お前こそ、PTSD患ってんのに男と見合いなんて何考えてんだ。俺が本気で結婚する気ならどうしてた」
「…ごめんなさい。いくらお見合いしても、気に入られなくちゃ結婚には至らないと思ったから」
俯きがちになりながら細い声で謝られ、心臓の奥がムカムカした。
気に入られなくちゃって…その見た目で、自分が気に入られない自信でもあったのか。
(見合い相手が俺じゃなかったら、お前多分交際と結婚申し込まれてたぞ)
そう内心で呟いてため息をつく。
実際、自分でもこの女に興味が湧いていないかと言われればそれは嘘だ。
普通の女なら、医者で大病院の跡取りだという俺の肩書きに目を光らせ、猫撫で声ですり寄ってくる。だが今俺の目の前にいるこの女は違う。
俺に怯え、ビクビクとした小動物のように警戒した目で俺を見る。
周りには居ないタイプの女だから興味が湧いた。だが、それは好奇心であって好意ではない。