恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】

「持続エクスポージャー療法っていう治療で、医院では想像エクスポージャー…えっと、トラウマに関する記憶を呼び起こして、その体験を具体的に説明するっていう治療をやってて」

そこまで言うと、沙和は鞄の中から四つ折りになった紙を取り出し、その中身を俺に見せるようにして紙を開いた。

「ここに書いてある事を、抵抗が小さくなるまで繰り返し実践していくっていうのが課題です」

ここに書いてある事を、と言われてもう一度紙に目をやると、そこには1から10まで振られた番号の横に箇条書きのようにしていくつかの項目が手書きで並んでいた。

受話器に耳をつけて男性と電話をする、煙草を吸っている人を見る… PTSDを患った事によって苦手になってしまった事への実践だという事だろう。

辛い記憶を呼び起こしてそれに向き合う想像エクスポージャー。抵抗のある行動への実戦。

そういえばそういう治療法だったと、うろ覚えだったPE治療の内容を思い出す。

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