恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
女に顔を寄せて怯えられたのも、女を怖がらせた事に対して罪悪感を抱いたのも初めてだった。
「私こそ、ごめんなさい」
沙和がそう言ってのけぞっていた体勢を元に戻す。その身体が少し震えている事に気がついた。
俺が故意的に怖がらせた。その事実が刺さって痛い。
「そんなんじゃ、結婚どころか男と交際するのも無理だろうな」
決して物腰柔らかとは言えない自分の物言いは、長年治す気すら無かったのだから今も器用に変えられない。
沙和が心なしか肩を落としたのが分かる。
これ以上傷つけたくないし怯えさせたくないと思うのに、まるで嫌味のような言葉しか返せない自分が情けなかった。
「そうですよね、多分難しいです」
そう言ってぎこちなく笑って返す沙和に、いよいよ返しに困る。
「まぁそうだろうな」