恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
「どうしたの?」
「ううん、何でもないよ」
そう言って笑ってごまかす。何から何まで、本当に情けない。
羽瀬さんには挙動不審な態度をとって嫌な気持ちにさせてしまっただろうし、病気であるだろうという事も見抜かれた。
治療を焦った自分が馬鹿みたいだし、そのせいで綾香や砂川君にも迷惑を掛けた。
そう落ち込んで車の窓からの景色に視線をやった時。
「え…」
見覚えのある後ろ姿が目に入り、シートの背もたれに寝せていた体を驚いて起こす。
「お母さん、送ってくれてありがとう。あの…もうここまでで大丈夫だから、近くで降ろして貰ってもいいですか?」
「ここまでって、家はもっと先でしょう」
「えっと、近くのお店で買い物したくって」
そう嘘をついて、私は母の車を降りた。