恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
「あ、うん。その、友達の結婚式だったの」
咄嗟に友達の結婚式だったなどと聞かれてもいないのに嘘をついた。
「結婚式か。友達?それとも会社の人の?」
(…え)
まさかそこを突っ込まれるとは思わなくて一瞬呆気にとられる。
「えっと…友達、かな」
「そうか。場所はどこかのホテル?」
「あ、うん。ホテル。近くのホテルだよ」
砂川君の優しく微笑みながらもどこかかすかに圧を感じるような目の色にギクッとする。
砂川君は精神科医で臨床心理のスペシャリストなのだから、もしかして人の心の内も手にとるように分かってしまったりするのだろうか。
でも冷静に考えたら結婚式に行ってきたという友人に対するごく普通な質問であるようにも思う。自分の考えすぎだろうし、ここで動揺してはいけないと話のベクトルを反らす事にした。