恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
エレべーターも電話もタクシーも、苦手だと意識して日頃から避けている事はもう書き込んでしまっている。苦手だとおもっている事も状況も、実際は沢山ある筈なのにいざ考えてみるとすぐには浮かばない。
加えて、それは実践可能なものでなくてはならない。
──それはもう、ホストクラブに繰り出すしかないよね。
(ホ、ホストクラブは無理…っ)
いつかの電話での綾香の発言がふと浮かび、それは違うだろうと首を横に振ると、砂川君がクスっと小さく吹き出した。
「急に聞いて悪かった。すぐには浮かばないよな」
そう言って、砂川君が右手を私に差し出す。
「じゃあこれは?」
(…え?)
じゃあこれはどうかと言われ、差し出された右手をポカンと見つめる。