恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
「まだ実践してない項目飛ばしていきなり握手は辛かったよな、悪い」
「え…?ううん、本当に大丈夫だよ」
辛くなかったよ。
そう続けようとして唇を閉じた。
私、辛く無かった。いやな動悸もしたし、頭も熱っぽくなって苦しかったけど。信じられないくらい、その2秒間は私の知っている2秒間より長く感じたけれど。
でも私、辛くは無かった。
…どうして?
それに私、砂川君の手が私の手を離した時──…
「相澤?」
そう名前を呼ばれてからハッとする。
私今、何を。
「あ、えっと…私、向こうでお母さん待たせてるからもう行くね。本当にありがとう、来週もよろしくお願いします」
本当はお母さんに待ってもらってなどいないがそう嘘をつき頭を下げ、まるで逃げるようにして私はその場を後にした。