恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
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”羽瀬さんからの連絡”が入ったのは、その日の業務を終えた夕方だった。さあ帰ろうとデスクを立った時、ジャケットの中に入れておいたスマホが着信で震えた。
「……?」
誰からだろうとスマホの画面を確認したが、非通知からの着信だった。
いつもは非通知からの電話には出ないようにしているが、羽瀬さんに自分の携帯の連絡先を教えていた事を思い出し、もしかしたらとハッとする。
急いでオフィスを出て誰もいないスペースに移動し、スピーカーモードで電話に出た。
「もしもし」
「…遅い」
電話越しで応えた、まだこの間聞いたばかりのハスキーな声に、やはりこの電話の相手は羽瀬さんだったと気づく。
「ごめんなさい、もたもたしちゃって」
「まぁいいけど。今仕事終わりか?」
そう聞かれ、はいと言って頷く。