恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
オフィスを出て言われた通りに会社の入り口の前で待っていると、程なくして黒塗りの車が私の側で止まり、その車の窓が開いた。
車内にいたのは羽瀬さんで、早く乗れと促すような目で私の顔を見る。
「…羽瀬さん、いくらなんでも強引すぎます」
少しだけそうむくれて動かないでいると、羽瀬さんが不快感を示すように眉を潜めた。
そのまま羽瀬さんが運転席から腰をうかせ、そのまま扉を開けて車から出た。いきなり目の前に立たれて思わず一歩退くと、羽瀬さんはそんな私に肩をすくめた。
「せっかく迎えに来てやったんだ、乗れ」
「……。」
そんな羽瀬さんの言葉に鼻白む。
治療に協力してくれるという話はありがたいと思ったけれど、それとこれとは話が違う。
(大体迎えに来てやったって、頼んでもいないのにそんな言い方)