恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
「お前、意外と頑固なんだな」
羽瀬さんが後部座席のドアを開けて、意地悪な笑顔をつくる。
「自分の足で乗らないんだったら、俺がお前の腕を掴んで連れ込むけどいいのか?」
「なっ…」
そんな羽瀬さんの言葉にサっと血の気が引く。羽瀬さんはきっと脅しでそんな事を言っているのではない。私がいつまでも乗ろうとしなかったら、本当に強引に私の腕を引くだろう。
どうしようかと一瞬迷ったが、腕を直接つかまれて強引に車の中に入れられるより、自分で乗った方が何倍もましだとため息をついた。
「じ、自分で乗ります」
そう言って、おそるおそる羽瀬さんの車に乗り込んだ。
私が車に乗った事を確認して羽瀬さんが車のドアをしめ、運転席に戻る。
羽瀬さんがサイドブレーキを外してアクセルを踏んだ時、私の頭は緊張で一杯になっていた。