恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】

羽瀬さんと会うのはこれが二度目だから、羽瀬さんは私にとって初対面の男性ではない。初対面の男性がドライバーであるタクシーに乗るより、今のこの状況の方が私には優しい。

でも、羽瀬さん言う通り、この状況が私の治療、現実エクスポージャーの治療になっている事は確かだろう。

「言っとくけど、変な勘違いするなよ。俺はただお前の病気に興味があるだけだからな」

「あ、はい」

そんな羽瀬さんの言葉にコクンと頷く。

勘違いはしていない。羽瀬さんにはお見合い当日早々結婚する気は無いとちゃんと伝えられていたし、羽瀬さんが医者として自分の専門ではないが精神病であるPTSDという病気に興味があるから、こうして私に時間を割いているのだという事も分かっている。

・・・でもやっぱり。

「羽瀬さんって、優しいんですね」

理由があっても、結果として私の治療に付き合ってくれるという羽瀬さんはやはり優しい人なのだろう。怖いし強引だし、分かりづらいけれど。


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