恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】

見惚れるほどに綺麗な女将さんにそう微笑みかけられ、私は思わずぽうっとしてしまったが、羽瀬さんは動じる様子もなく肩をすくめた。

「形だけの、な。…あぁそういえば、今日は個室空いてないんだっけ?」

「そうなのよ、カウンターでも大丈夫?」

女将さんがそう聞くと、それでも大丈夫かと尋ねるように羽瀬さんが私に視線をやり、私はコクンと頷いた。

やがて案内されたカウンターの席へと、机に手をやりながら脚の高い椅子に座ると、羽瀬さんも私との間に一つ席を空けて座った。

一つ席を空けて座った私達をみて女将さんは一瞬驚いたように目を見張ったが、何も聞かずに透明のガラスのグラスにお冷やを注いで出してくれた。

「この距離なら平気か?」

「…はい」

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